天城の遍路道道標

 




岡山県倉敷市藤戸の天城にある遍路道の道標である。児島八十八ヶ所めぐりの遍路道に置かれたもので、八十一番札所正覚寺の案内をしている。児島郡五軒家の岩知道己之吉の依頼で、同郡石屋谷の石工の岡野仙太郎が造ったとある。大した由縁や価値のあるものではないようだが、この道標には特に引かれる。デザインや色調、風化による磨耗、ひび割れなどすべてがうまく調和して芸術的に仕上がり、大変深い味わいがある。民家の玄関先という、置かれている場所もよい。前を通ると、どうしても我慢できなくなって、シャッターを切ってしまう。あたりにいくつか道標があるが、これが最も良い。

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