田之浦の地蔵石仏

 

  

岡山県倉敷市児島田之浦の磨崖仏の地蔵菩薩。南北朝時代の1368年に造立された。石の塔とよばれる峠の巨石に刻んだ磨崖物であったが、大正2年(1913年)の鉄道(下津井電鉄)敷設工事の時、三つに割って現在の位置に移した。高さ2メートル、幅1.7メートルの花崗岩の自然石の表面に彫られた像高58センチの延命地蔵で、柔らかな曲線の体つきと温和な顔が印象に残る。

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延命地蔵は磨崖仏でありながら地蔵堂に納められ、地域の人々に大切に守られている。お堂はモルタル造りの立派な家屋の様で、外から見ただけではそれとは分からない。

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室内は掃除が行き届き、きれいに手入れされていて、地域の人々により大切に保存されている。反対側の崖下の大畠から毎日お参りしているという高齢のご婦人もいた。外にはトイレがあり、タクシーの運転手なども休憩に利用しているようで、地域のコミュニティーにもなっている。

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延命地蔵は、今は廃線となった下津井電鉄の鷲羽山駅から東へ100メートルほどの崖にある。瀬戸中央自動車道の鷲羽山トンネル北口の直下にもなる。鷲羽山駅は、生い茂る雑草の中に駅跡の案内板だけが立ち、訪れる人もない。背後には瀬戸内海と瀬戸大橋の美しい光景が広がる。

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瀬戸中央道の下はトンネルになっており、宇野側の瀬戸内海が俯瞰できる。下の大畠にも階段で降りることができるようになっている。

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