徳富蘆花と養父が鼻

養父が鼻は、乙島の戸島神社の階段下にあり、今から数十年前まで、瀬戸内海でも有数の景勝地で、白砂青松の海浜として全国に知られていた。遠浅で、潮干狩り、海水浴、魚釣りなどができ、四季を通じて賑わっていた。ここを、大正の文豪徳富蘆花が訪れ、数十日間滞在し、美しい風景と人々の人情に感動し、「人の子の貝掘りあらす砂原を平になして波の寄せ来る」という名歌を残した。この歌は、海浜の岩肌に彫られていたが、風化が進んだため、切り取って、戸島神社に移された。今蘆花の詠んだ砂浜は埋め立てられ工場となり、その美しい風景が失われてしまったことは、残念で仕方ない。

(参考)ザ玉島:ホームページ

 

戸島神社東方の山の中腹あたりから、南西方面を俯瞰。海ははるかかなた、ずいぶん遠くなってしまった。

神社境内の南東の山腹に公園があり、木立に囲まれるように歌碑が建てられている。隣には蘆花の妻の歌碑もある。

蘆花の歌碑。ここから歌に詠まれている美しい瀬戸内海を見ることができないのが、残念。

戸島神社の階段から下を見下ろしたところ。この階段を下りた所まで海があって、美しい砂浜が広がっていた。今は埋め立てられて工場が建ち、遠景すら見えない。今この風景を蘆花が見たら、何と詠むだろうか。蘆花の歌を彫った岩は、階段を下りてすぐ右手の海辺にあった。

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