笹無山

 

笹無山58

笹無山山中56

岡山県倉敷市天城にある笹無山だ。山といっても田園地帯のあぜ道の脇にある、小さな土盛のようなものである。源平藤戸合戦で先陣の偉功をたてた佐々木盛綱に切り殺された漁師の母の嘆きを秘める小山として知られる。船がなく攻めあぐねた盛綱は、浦の男(地元の漁師)から歩いて渡れる浅瀬があることを聞き出し、男を先導させて先陣を切って渡海し、平家を打ち負かした。しかし、同行すれば褒美をとらすという盛綱の言葉を信じて、海中に目印の笹を立てながら案内した漁師は、再び帰ってくることはなかった。手柄を独り占めしたかった盛綱が、口封じのために切り捨てたのだ。このことを知った老母は半狂乱となり、佐々木と聞けば笹まで憎いと、この山の笹をむしり取ってしまったということだ。恩を仇で返した盛綱の残酷な仕打ちを恨んだ老母の怨念のこもった山に、再び笹が茂ることはないという。

HOME  吉備の国古跡・史跡めぐり  その他  源平藤戸合戦古戦場