富峠の地蔵尊

 

 

 

 

 

岡山県倉敷市玉島の富峠に地蔵尊の磨崖仏があると古い本に書いてあったので出かけてみた。地元の高齢の方に聞いたが、場所は分からなかった。そればかりか存在すらあやふやであった。富の峠は玉島の港から矢掛の山陽道へつながる主要街道であったが、峠越えは厳しく危険なものであった。追いはぎがでることもあったという。今は通る人が無く、道もほとんど分からず、雑草が生い茂り木々が倒壊したような荒れた中を、手探りで進むしかなかったが、それでも何とか峠らしいところの池に出た。池のまわりには岩の露出しているところがあり、目を凝らして探したが朽ちた祠があっただけで、磨崖仏を発見することはできなかった。後日、再度出かけたが、やはり磨崖仏と出会うことはできなかった。今まで、磨崖仏の撮影にでかけて、発見することができなかったのは、この富峠だけである。誰かが麓の村へ下ろしたのではないかという噂も耳にするが、それもはっきりしない。

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